『厳冬期』というシーズンはおおよそ12月~2月の間とされるそう。
では2月の末ともなると厳冬期の終わりかけと残雪期の始めの
微妙なシーズンになるのかもしれない。
厳冬の冬山で我々が行けるような所はそんなに多くはないのだけれど
行動に移す際に『移動距離』の問題もあったりして
夏のシーズンですらなかなか足の向かないお山もあったりする。
そんなお山のひとつにようやく腹をくくって
よりにもよって厳冬期(の終わりかけ)に行って来たというお話である。
今回訪れたのは安達太良山。
福島県に鎮座する名峰である。
標高1699mとそんなに高くはないお山であるが
そこは東北に位置するお山らしく冬は雪でガッチリ覆われる
純然たる厳冬の雪山である。
<本日のルート>
おそらくは最もメジャーなあだたら高原スキー場を起点とした
総距離11キロ弱、高低差700m強の周回ルート。
我々にしては距離は長めになりますがトラバースが多く
体力的にはいけるんじゃないかと甘い期待を抱く。
<当日の天気>
(画像はてんきとくらすより拝借)
この日は南側に低気圧の前線が張り出していて
日本海側は荒れ模様の予報。
とはいえ東北地方は天気自体は問題なさそうで問題は風くらいかなと予想し
高層天気図とにらめっこしながら「ヤバそうになる前に直帰」を
合言葉にひとまず行ってみる事にした。
夜な夜な東北道をひた走る。
東京からの距離は片道300キロ超。
その距離をお山遊びで移動したことがないので
なかなか訪れる決断ができなかったのですが、ここに来て
「妙技 早引き」
というダメ社員の必殺技の一つをさく裂させる事により
ようやく向かう踏ん切りがついた次第。
山が人をダメにするのか、ダメな人が山に行くのか。
良識のある皆さんは問題ないと思いますが。。。
道中のパーキングエリアに立ち寄り。
これも我々の旅には大切な通過儀礼です。
というか楽しみのひとつ。
今回は「かみこうち」と呼んでしまいそうですが
「かみかわち」サービスエリアに立ち寄る。
いつもの麺類といつものカツカレーを食す。
人の手が入った暖かいものって基本的に美味しい。
(たとえレトルトでも)
私は生まれが九州のド田舎なのでよくわかりませんが
関東近郊のSAはなんでこう夜遅くても普通のモノが普通に食べれるのか。
私はほんの十年前まで恐ろしく味気ない自動販売機の
焼きおにぎりとかしか知らなかった。
この日はあだたら高原スキー場の駐車場の端をお借りして
仮眠を取るはずだったんだけど
予想外というか当たり前というか到着すると真っ暗で
お手洗いも見当たらなかったので急遽
道の駅『つちゆ』の端を使わせてもらう事に。
後々調べてみたら高速を降りたすぐ辺りに
道の駅『安達』なんてご飯もそそる私ら好みの道の駅があったので
また再訪する事があったら是非立ち寄ってみたいなと。
いやまぁいずれにせよ大変助かりました。
道の駅『つちゆ』最高のところです。(いい加減)
何とか一夜を過ごしてあだたら高原スキー場に再訪。
少しだけクネクネの山道を走るだけの高速の出口から10キロ程度と
とんでもないアクセスの良さです。
300キロ超と我々が初体験の移動距離でしたが思いのほかあっさりで
これで300キロまでは行動範囲を広げても問題なさそうです。
あとは気軽に早引きできる労働環境を
整えるだけです。
出世?ナニソレ美味しいの?
到着したのは朝の8時と予定より遅かったのは
毎度のごとく私がなかなか寝付けず寝坊した
からという国際貿易摩擦の影響なんですが
さらにダラダラと準備して登山口を目指したのが
8時半となかなか遅いスタート。
普通の方々であれば5~6時間程度で戻ってこれるルートなのですが
我々は日本屈指の鈍足パーティーなので
トータル7時間程度の所要時間を予想しており
結構ギリギリの時間だったりする。
ということで11時半までにくろがね小屋、13時までに山頂という
リミットを作って行けるとこまで行ってみようという事にした。
スキー場の脇をコソコソと少し進むと
あだたら高原パトロール室があり、その脇に登山届提出ポストがあります。
我々はいつもの通り自前のフォーマットを提出。
(一応内容を拝見して不足ない事は確認)
尚、備え付けの用紙に下山届の半券が付いていますので
下山の際は下山届を提出するシステムのようです。
縦走する時とかどうするのかね。
パトロール室からまた少し歩くと
登山口の標識があります。
雪もしっかりあるので今回はここからアイゼンを装着。
相棒は前回山頂付近で装着不備で外れてしまった事もあって
今回は入念にチェックしていた模様。
というか毎回入念にチェックしましょう。
セオリー通り装着後にグニグニして前後左右のズレの有無確認を。
事前の調査でスキー場の脇からスタートするという情報は得ていたけど
意外にのっけからスキー場が見えないルートを進むことになる。
ま、この方がスキーヤーに気を遣わないでいいからありがたいですけどね。
雪は結構しまっていてアイゼンもザクザク突き刺さります。
気温は-3℃くらいだったと思うけど
大した傾斜じゃない中すぐに汗が出はじめて
早々にハードシェルを脱ぎます。
最初の分岐。
ここで薬師岳方面かくろがね小屋方面かで別れます。
我々は反時計回りに周回する予定なので右側へ。
なんだか趣のある小橋が出現。
とんちを駆使して真ん中を渡ります。
2つ目の分岐ポインツ。
ここで馬車道と旧道に分かれます。
どっちに行っても着く場所は同じだと思いますが
距離の短い旧道を進みます。
距離が短いだけに少し勾配が出てきますが
それほどではなさそう。
ここにきて赤城ののっけっから急登の経験が生きてくる。
天気予報は当日には晴れになっていて風もほとんどなく
なんだかいい一日になりそうな予感。
何度か馬車道と交差を繰り返します。
おそらく馬車道の方は車が通っても平気なように
大きく巻きながら高度を上げていく道っぽい。
いつものように休憩は多めにとります。
毎回自分たちのラップタイムを表記する事にしていますが
表記以上に小休憩を繰り返すのが我々のスタイル。
普通は疲れる前にってのがよく言われる事ですが
我がパーティーの場合
相棒の罵詈雑言が耐えられらなくなったら
という我々ならではの不文律が存在します。
つまりはそれだけ小喧嘩の絶えない山行だって事です(笑顔)。
山ノボラーの永遠のテーマのひとつであろう行動食問題。
プロテインが山登りの際になんの効果になるのかよくわかりませんが
多少のエネルギーにはなるはずだし、大きいバータイプだと
食べづらいのでこういう小分けになったヤツはとてもありがたいです。
今後もお世話になりたいのですが、なぜか商品のwebページが見つからないので
何かのコラボ商品だったりするのでしょうか。
それからこれもおすすめです。
こういうのは余り人気がないとすぐ販売終了しちゃうから
気になった方は是非お試しあれ。
おやつに夢中で休み過ぎました。
先へ進みましょう。
馬車道とのスパイラル交流を終えたら
右側の視界が開き始めます。
この辺からちょっとだけ風が出てきた。
向こう側に街が見える。
火山帯によくあるように温泉が点在する地方ですが
街の観光化はそんなに進んでいないようで少しおとなしめな印象。
少し進むと平地が現れる。
眼前にはこれから向かうであろう峰々がチラチラと。
人気のお山の素晴らしいところはトレースがしっかりしている事。
夏道を知らない我々にはありがたいばかりです。
こんなだだっぴろい空間でトレースがないとどこ行っていいか
絶対わからない自信があります。
そんなんで冬山来ていいのか?
そんな議論は当然あります。
そして10:0で我々の負けなのさ。
先人たちのお陰100%で無事分岐に到着。
ここでくろがね小屋経由かショートカットルートかの分かれ道になります。
風は展望が開けるにつれ次第に強くなりつつあったので
念のためウインドブレーカーを着用する事に。
しかし久しぶりに使う。
相棒もお山での私の判断には
比較的同調してくれるのでゴソゴソと自慢のフーディニジャケットを装着。
ウインドブレーカーといえば便利なのは便利だけど
意外と使いどころが難しく最終的に
「荷物増えてもアレだしまぁカッパでいいか」
と無念の切り捨てをされがちなアイテムだと思いますが
ちょっとだけ寒さと蒸れを我慢できれば割と融通の利くウエアには違いありません。
中でもこのフーディニは多少蒸れも軽減してるそうで
ウインドブレーカーで迷ったらコレにしとけといえるくらい
間違いのない一品です。
じゃあ私も入手しろって話なのですが我が相棒が
お宅も買っといた方がいいんじゃない?
なんて先行入手の特権を最大限に利用して勝ち誇ってくるもので
意地でも買わない誓いを立てているのです。
どうぞ男の腐ったプライドを笑ってやってください。
Oakley EV ZERO PATH Golf
私だってたまには正解を選択するようで
以前入手してその色味の変わりように使用を一旦諦めたサングラスを
試しに投入してみたところコレが大当たり。
緑色に対しての補正はきついようですが
雪に対してはそれほど大きな補正はしないようで
程よい減光とかけ心地の快適さで大活躍してくれました。
お顔と合えばこちらも是非おすすめです。
(汎用性からGOLFじゃなくて普通のレンズがいいと思いますが・・・)
さて我々には1円の得にもならない製品紹介はこの辺にして先に進みます。
ルートとしてはどちらでもよいのですがくろがね小屋が見てみたかった事もあって
小屋方面に進みます。
また右側に傾斜が付き始める頃。
コレは何用?
整備用に置いてあるものなんでしょうかね。
もういっそ『シャベル塚』とか名所にしたらいい。
右側の切れ落ちは少しずつ角度を急にしていき
以前谷川岳で体験したような小枝障害が現れてくる。
といっても数か所程度であそこまで難儀するほどでもありません。
爆裂火口っぽい山容がどんどん近づいてくる。
文字通り火山の爪痕って感じの岩肌がどーんと我々を迎えてくれます。
この雄大で恐ろしい景色を見た相棒が
泥汚れはあそこでこすればいい
とかもっとおそろしい事を言ったような言わなかったような。
万が一私がこの先おイタをした場合には
あそこでこすられる運命になったような気がした。
見つけきれなかったのですがこれって金名水ってヤツ?
硫黄の匂いがしたので火山活動の観測ポイントかなんかでしょうかね。
その何かしらの囲いを越えるとほどなくして
くろがね小屋が見えてきた。
カールを従えたくろがね小屋の雄姿。
すごいロケーションのところに建っています。
秋は紅葉の名所として知られる安達太良山ですが
このくろがね小屋の辺りはとても美しいらしいです。
見たい気持ちは当然ありますが間違いなく登山客も多いシーズンだろうから
人混みが苦手な私たちがそれを見る事はないんだろうなーと思います。
なんとか制限時間内に到着。
こんなこと言ったら失礼なのかもしれませんが
まるで戦車のような佇まい。
体育館みたい立派な建物です。
安達太良山の名前の由来は諸説あるらしいですが
鉄を産出していた伝記にまつわる
おそらく「たたら」場の名残から
命名された説というのがあるみたい。
「くろがね」って名前もそれっぽいよね。
くろがね小屋のくろがねたる由縁の鐘でしょうか。
アイゼンを取るのが面倒だったので中までは入りませんでしたが
温泉のある素敵な施設らしいです。
エボシ様がいたら永住しちゃう。
とおっしゃったのはリアルもののけの我が相棒。
軒先をお借りしてちょこっと休憩させてもらって
山頂に向けてスタート。
カール側に行けそうですがどうも有毒ガスが発生するスポットらしく
通行止めのバッテンが付いていました。
お山遊びと言えば立ち入り禁止の表示を自己責任の盾をかざしつつ
越えていくのが一つの通過儀礼みたいなところもありますが、
こればっかりは自己責任の範疇を越えますのでご配慮に従います。
見切れた私の指が差す通りカールに向かって
我々は左側の巻き道へ進みます。
しばらく目指すべき山頂付近が進行方向左側に見えていたのですが
谷合に入るため一旦見納めになります。
少し勾配がでてきますが風もやんでくれたおかげもあって
カールって初めて見たんじゃないかね。
蘇る「カールあるって嘘説」。
山頂側に目をやると強風のためか捻じ曲げられた
ハイマツの群生が見える。
常日頃から風が強い地形らしいのだけれど
この日は我々の低レベルさ加減に手心を加えてくれたのか
それほど風は強くなかった。
峰を一つ越えるとだだっ広いトラバースエリアが出現。
関係ないけどミラーレスカメラってファインダーでも太陽を構図に
入れても耐えられるから便利。
まるで雪の砂丘。
ん?
なんか変な表現してしまった東京砂漠から来たヘッポコハイカー。
実はこのトラバースエリアには薄く雪崩の跡っぽいのが散見されたので
少しばかり緊張して通過したのだった。
どんな状況で起こるのかわからないし油断は禁物ですが
だからってそそくさと通り抜ける以外に対処法がないってのが
恐ろしいところです。
しかも我々は超のつく鈍足ですし。
さすがに有事の際に二人とも巻き込まれないように
長めの間隔をあけて通過。
ちょっと迷っているのはこういう雪崩の危険があるルートを通る際に
ピッケルは体に繋いでいない方が良いのではないかというお話。
というのも雪崩に巻き込まれた際にピッケルが体につながっていると
アンカー代わりになってしまい抜け出せない事があるそうだ。
でも同時に斜面をトラバースする事が多い訳で滑落の危険もあるしと
結局状況次第なんだろうけど最適解を選択できるように
自分なりにいろいろ対策を考え中です。
なんとか登り切りました。
この日は天候に恵まれた事もあって照り返しがギラッギラだったので
サングラスやゴーグルがない方は相当つらかったんじゃないでしょうかね。
トラバース終盤の傾斜を登り切ったところで峰の辻に到着。
ここでお鉢が見えるらしい稜線側のルートと
山頂直下に出る再度のトラバースルートとに分かれます。
蜂の辻から東側の風景。
やっぱり火山帯のお山は私の想像の中の火星の景色に似る。
マットのデイモンさんはかの地でジャガイモ栽培に成功していたが
現状の想定では植物の栽培は難しいことのようで
まずは水をどうするってのすらはっきりしていないっぽい。
コチラの火星には冬でも桜みたいな飾りをつける
美しい植物もあります。
地球の火星に来れて良かった。
さて宇宙旅行はこれくらいにして先に進みましょう。
我々は今回はトラバースルートの方に進みます。
私の写真の腕ではうまいこと表現できませんが
結構な凹凸があります。
谷筋は雪崩が怖いのでできるだけそそくさと渡ります。
トレーニング不足がたたって必要以上に息を乱しつつも
なんとか谷間をクリア。
日が当たりやすいからか凍ったような路面が
トレースの左右に出てきます。
斜面を見上げてみると
なんか嫌な感じがする。
雪崩の兆候はよくわかりませんが
まぁ落ちてきそうな気がしますね。
ということで乱れた呼吸を更に乱しながら
我々のできる範囲で先を急ぎます。
んーちょっとした破断面に見えるんですが
どうなんでしょうね。
注意しないよりはした方が良さそうです。
場合によっては大声なんかにも反応して雪崩が発生する事もあるようなので
可能な限りそろーりと行きたいところです。
トレース上にも所々凍った地面が露出しています。
12本爪のものであればまずすべる事はないと思いますが
刃先の丸いチェーンアイゼンだとちょっと怖いかも。
ただ他のハイカーの方で4本爪っぽい方もいらっしゃったので
問題ない人は問題ないのでしょう。
ヘッポコな我々は道具に頼って同じフィールドの最後尾で
遊ばせてもらっています。
ヘッポコこそ一番いいの使え。
これが我々のお山遊びでの座右の銘です。
オーバースペック?
いえいえ私ら自身がアンダースペックなので
これくらいでちょうどいいのです。
なにやら辺りが暗くなったなと思ったら
あれよあれよと雲の中に入ってしまった模様。
山の天気は変わりやすといいますが
ほんの1分で辺りの景色は厳冬期という名にふさわしい
厳しい環境に様変わりしていきます。
あとちょっとのところなのに頂上の景色が真っ白なんて
まっぴらごめんの我が隊は乱れる息も整えず
なりふり構わず稜線を目指します。
這う這うの体で山頂直下の分岐ポインツに到着。
見上げた先には・・・
割と見慣れた真っ白な景色が広がっていた。
がっくりと肩を落とす新たに鬼の洗濯板の異名を授かった我が相棒。
おまけになんか白いものが横殴りに降ってきた。
けっこうな風と共に雪なのかみぞれなのかよくわからない
いうなれば小達太良さんみたいなものが
節分の豆くらいの衝撃で顔に当たってきます。
どうやらサービスタイムは終わったらしく
安達太良大解放を始めたようなので
最高潮タイムに突入する前に登頂を果たそうという事に。
時折体を倒して来そうな風が吹き抜けていきます。
この標高の山でこんなんなんだから北アの稜線とかどうなるんでしょうかね。
あー恐ろしい。
風への対応でてんやわんやしている事もあって
写真はほとんど撮れなかったのですが
核心部に取り付いて岩陰に隠れた途端に
急に風がやんで空に青さが戻りだした。
見上げると吸い込まれそうな青空が。
うん、たぶん宇宙からみるのと同じくらい綺麗です。
あとは知れたもんなのですが
少しだけ傾斜がきついのでこういうところに慣れていない我々は
すっかり気後れしてしまいます。
というか相棒が帰りたいって言いだした。
「じゃあそこで待ってたらいいさ!バカ!!カス!!!」と
コミュニケーションスキルの低いワタクシめは
罵詈雑言を浴びせて怒りのパワーでの突破を試みます。
今回はそのロースキルがうまくさく裂したのか
なんとか二人揃って登頂。
そういえば小達太良さんはどっかに行ってしまわれた。
三角点にはダブルピース。
最近面倒でやってなかった儀式を久しぶりに復刻。
内股でするのがプロの証らしいです。
南側には和尚山に続く美しい稜線が見える。
いつか歩いてみたいな。
今日は絶対イヤだけど。
風も時折戻ってきて怖いので
早々に山頂を後にします。
こういうところって降りる時の方が怖いよね。
いつか行きたいなーと思っている
北アの独標に向けてちょっとだけだけど
いいトレーニングになったかなと。
こんなもんじゃないでしょうけどね。
ほっとして腰が抜けたのか
ちょっとした勾配にも苦戦中のまな板ゴーグル野郎。
一応ピック前と後ろの使い分けは意識して変えるようにしていた模様。
合ってたかどうかは不明。
なんとか安全圏に到着。
道中北の方からじわじわと見せてくる稜線の姿といい
ちょくぜんに一度心身を揺さぶってくる演出といい
なかなかに実力のあるプロデューサーを据えているとみえます。
ウチのヘッポコADはただただ巨大な権力を見上げて無事に登頂されてくれた
感謝の意を奏上するばかり。
また会いに来るよ。グリベルに乗って。
感謝タイムをひとしきり終えて
また小達太良さんがやってくると困るので
早々に降る事に。
帰りはまずは表登山口・仙女平分岐を目指します。
南側には雲が渋滞してました。
あの辺を登ってる人は大変だったろうな。
和尚山への分岐辺り。
時間さえ許せばルート的には行けそうに見えるけど
そうもいかないんでしょうね。
ヤマレコを見ると昨年の11月に登られた方が最新の記録でしたが
余り人気のないお山なんでしょうか。
平らなところまで降りてきました。
そういえば仮眠ポイントで手間取ったのもあって
コンビニに寄ることができなかったため
昼食を仕入れず行動食をバカ食いしての強行でした。
決して私が寝坊したからではないのだよ。
残りエネルギーが少ない事を示す我が相棒の肩メーター。
割と正確なメーターなので結構ちゃんと観察しています。
おそらくこれが分岐ポインツ。
これがちょっと厄介だったのは私たちが持っている
安達太良山の山と高原地図(2016年度版)によるとこのポイントは
『表登山口・仙女平分岐』と表記してあるのだけれど
このお山は全般的に「○○分岐」という表記がないのだ。
(もしくは雪に埋もれているか)
目指すは奥岳登山口とはわかっていつつも行くはずもない
表登山口の方に仙女平との表記があるため
ちょっと混乱してしまいました。
ま、この辺はYAMAPで現在地をチェックしながら
進んでいたのでなんとかなりましたが。
重ねて言いますが
こんなレベルで厳冬の雪山なんか行くんじゃないぞと
小達太良さんからのお仕置きもこんな理由があった。
何とか帰路に乗りつつハイマツというか
高さ的にはもうハイマツジャナイの群生地についてほどなくすると
なんか人工物が見えた。
この山には名物があって「智恵子の空」という
高村 光太郎さんが詠った「智恵子抄」に出てくる
智恵子さんが東京の空を見て嘆きつつ想った故郷の空をモチーフにした
モニュメントがある。
我々はこのお山に登ると決めた際に
山頂の景色と共にこのモニュメントに出会う事を
この旅の楽しみにしていたのだ。
先ほどの緊張はどこへやら
期待に胸を膨らませてお目当てのモニュメントに
会いに行ってみると。
保健保安林て!!
智恵子さん、空じゃなくて林でした。
とまぁ茶番はこれくらいにして
もう90度回転すると確かにありました。
営林署さん、できればでいいんですが建て替えの際は裏側に・・・。
茶番といいつつも一瞬ですがすごくがっかりしたんですよ。
まぁいいネタじゃとしっかりネタ部分もカメラに押さえてる訳ですが。
なんかもう、ありがとうございます。
お決まりのカットです。
『す』をちょっと切ってしまったのがヘッポコカメラマンの証。
せっかくだから撮ってとのたまう相棒に
確かに私たちの『本当の空』にはいつも雲がいてくれます。
そうそう、この旅でお山遊びを始めた時から
私の冬の足元を守り続けてくれたゲイターがはちきれてしまいました。
いや正確に言うと私がアイゼンにひっかけてしまったのですが
どうも今回アイゼンの装着感が悪く
外側に足の裏が持ってかれるような感じが強くて
その違和感の中でこれまでやった事のない
引っ掛けをやってしまったのでした。
装着方法が悪かったのか、単純に技術の問題なのか
ただ、こんなことは初めてで結構な時間横のひねりが続いたためか
下山してからも足首の側面に鈍い痛みが残っています。
ひとまずは物のせいにして装着方法から今後研究したいところです。
ネタも仕入れたところでしめしめと先へ進もうとしたら
目と鼻の先にもう一つ標識が見えました。
これがどうやら薬師岳だったらしい。
すなわち『智恵子さんの空』は薬師岳の山頂に
あるらしいのです。
素敵な空ですね智恵子さん。
できれば営林署さんに今度ひと言いっといてくださいね。
この後はスキー場を目指して降るのみですが、
途中五葉松平なる開けた平地が出現。
どこからどこまでかわかりませんが
これが行き掛けに通った開けた土地まで続いてたら驚愕する。
枝障害がちょいちょい出てきた頃
モーター音っぽい機械音が聞こえてきた。
どうやらスキーリフトの頂上があるらしい。
なんとなくロープウエイの駅だと勘違いしていたのですが
そっちははるか向こうの隣の尾根伝いに伸びてました。
我々はリフトのチケットは持っていないので
当然徒歩でスキー場の建物を目指します。
誰も降りで使ってないんだから乗せろよ
と先行するゴーグル野郎が言ったように聞こえましたが
言霊は本当の空に吸い込まれて雲になりました。
スキーのコースっぽい整備のされ方ですが
以前は使われていたところなんでしょうかね。
このお山はスキー場の標高ラインから
いきなり雪が現れるのでなんだか不思議です。
スキー場までの道中なんて雪なんて全然なし。
標高の低いところからの溶け始めが早いってことなんですかね。
1か所スキー場を横切るようなルート取りになっているため要注意。
なるべくコースにダメージが無いようにこっそり横断します。
少しだけリフトの下を通ります。
下に人がいるのも嫌だろうし下くぐる方も
いい気はしないよね。
ここもそそくさと通行しましょう。
リフトに乗る方々は我々を見てどう思うんでしょうか。
合流ポインツに到着。
そんなに厳しいところがあった訳ではありませんが
割かし疲弊している我々。
やはり寝坊の影響で朝ご飯を含めて
食事を抜いてしまったことが大きいのだろうか。
(言わずもがな睡眠時間はそこそこ充実してたのですが)
なんとか日のあるうちに登山口に戻ってくることができました。
一時的に厳しい表情を見せてくれましたが
無事に帰してくれてどうもありがとうございます。
そうそう下山届を忘れずに。
勝手なフォーマットを提出してすみませんでした。
ただいま4輪の相棒。
朝いた他の山ノボラーの皆さんはいつものように
先にお帰りです。
登山バッジディーラーであるウチの相棒が
温泉の前にバッジをよこせと言ってきた。
炭酸たまらん。
ただ、どうもくろがね小屋に置いてあるバッジは違うものらしく
業者の方はちょっと名残惜しそうでした。
でも実は案外同じものだったりするんだよね。
このスキー場にはありがたい事に温泉が併設されています。
ちょこっと小さめの温泉施設でしたが冷えた体を芯から温めます。
なんとなくこういう活火帯に隣接する温泉って
硫黄の匂いがきつい想像をしますが
全然そんなことはありません。
茶臼さんの那須温泉も匂いなかったし
そういうものなのかね。
ただ服にはちょっと匂いついてたんだなー。
現地だと気にならなくなるのかも。
お食事は現地で目星をつけていたのですが
ちょっと遅くなったこともあってどこかのサービスエリアで食べようって事で
ひとまず帰路に着くことに。
高速に乗るとすぐに安達太良山がガッチリ見えるのね。
夜に来るとこういうのがわからないから考えもんだ。
サービスエリアをどこにしようかいろいろ迷ったのですが
私のお腹の虫がよからぬ感じで鳴ったタイミングで
最寄りの那須高原SAに立ち寄る事になった。
ん、正直なところ普通でした。
那須は街で美味しいもの食べたから尚更イメージがね。
意外と併設のレストランの方が美味しかったりしないかな。
今度機会があったら行ってみよう。
という事で突貫で行った割には
ガッツリと冬の安達太良山を満喫できた素晴らしい旅になりました。
まだまだ実力不足で簡単に危ない領域に入ってしまう我々で
反省点は雲ほどにありますがまた少しだけ無茶をしつつ
少しでも安全にお山で遊べるよう精進していこうと思います。
安達太良山、噂にたがわず素晴らしいお山でした。
きっと一生忘れないお山旅のひとつになったと思います。
どうもありがとう!
今回のダイジェスト
そうそう前回の赤城山で低温時に弱いとのレッテルを張られた
我が家のkeymission170ですが今回は前夜に車中泊をしたため
本体の温度が下がらなかったようで行き帰りで1時間程度の収録を
バッテリー1.5本程度でできました。
まぁ長い方ではありませんがこれくらいなら
ひとまず運用できそうな感じです。
(以下メモ)
◇お山
安達太良山(福島県 標高1,699 m)
当日コンディション:晴れ時々小達太良、気温-7℃~5℃
◇コースタイム
【登り】
奥岳登山口スタート(8:43) →薬師岳・くろがね小屋分岐(8:57)
→旧道・馬車道分岐(9:02) →休憩(10min) →勢至平分岐(10:03)
→休憩(10min) →スコップ平(10:20) →くろがね小屋(10:46)→休憩(20min)
→峰の辻(11:48) →山頂直下分岐(12:19) →安達太良山(12:32)
【降り】
山頂直下分岐(12:46) →表登山口・仙女平分岐(13:17) →休憩(10min)
→薬師岳(13:51) →休憩(15min) →薬師岳・くろがね小屋分岐(14:57)
→奥岳登山口(15:05)
※トータル時間6時間22分
◇主な装備(UGO編)
■登山靴:SCARPA モンブランプロ GTX
■ザック:Millet PROLIGHTER 38+10(容量 9.6 kg)
■ベース:TERNUA IONA
■ミドル:Patagonia R1 Hoody
■アウター1:Patagonia Triolet Jacket
■アウター2:Patagonia Micro Puff Hoody(使用せず)
■アウター3:PHENIX PokharaJk
■ボトムインナー:PHENIX Outlast Mid wt. Stretch Tights
■ボトム:TERNUA CORNO
■レインウエア:mont-bell レイントレッカー パンツ(ボトムのみ 使用せず)
■グローブインナー:Mizuno ブレスサーモ(指破けた 追加購入済み)
■グローブ:ショーワ 防寒テムレス
■グローブ2:Black Diamond ソロイスト(使用せず)
■スパッツ:MOUNTAIN EQUIPMENT TRAIL DLE GAITER(破いた 追加購入済み)
■バラクラバ:MIZUNO ブレスサーモ・バラクラバ
■アイゼン:GRIVEL G12 NEW-MATIC
■ピッケル:blue ice Bluebird Evo Ice Axe
■アイウエア1:Oakley EV ZERO PATH Golf(NEW ひとまず雪山ならイイ!)
■CAMERA1:OLYMPAS OM-D E-M5 Mark2
+OLYMPAS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■CAMERA2:Nikon KeyMission 170
◇主な装備(AIBOU編)
■登山靴:LOWA MOUNTAIN EXPERT GTX EVO
■ザック:OSPREY カイト36(総重量 7.6kg)
■ベース:TERNUA LAIRG
■ミドル:Patagonia R1 Hoody
■アウター1:モンベル ダイナアクション パーカ
■アウター2:Patagonia Micro Puff Hoody(使用せず)
■アウター3:Patagonia フーディニジャケット
■ボトムインナー:PHENIX Outlast Mid wt. Stretch Tights
■ボトム:TERNUA なんか中厚手のヤツ
■レインウエア:モンベル サンダーパス パンツ(ボトムのみ 使用せず)
■グローブインナー1:モンベル メリノウール インナーグローブ タッチ(破けた)
■グローブ:ショーワ 防寒テムレス
■グローブ2:Black Diamond ソロイスト フィンガー(使用せず)
■スパッツ:HERITAGE サガルマータ ストレッチロングスパッツ
■バラクラバ:THE NORTH FACE V2 Neck Gaiter
■アイゼン:GRIVEL Air Tech NEW-MATIC
■ピッケル:PETZL ライド
■ストック:Black Diamond Trail Compact(1本のみ)
■アイウエア1:SWANS INDY-MPDH
■CAMERA:Nikon COOLPIX AW130(1度だけ動作不安定に)
◇メモ
・ピッケルバンドを分離式のシステムにしたい
・アイゼン本体側にLRとかもしかしてある?
・アイゼンの違和感は靴下をキャラバンに換えた影響がある?
・いい加減ビーコン持たないと・・・
・昼食はひとまず地元で予備を購入しておく事
・冬用パンツの予備もっときたい(できればダークカラー)
・ブレスサーモバラクラバが私には今のところベスト
・リチウムイオン式のヘッドライトの方が良くないか?
・TORQUE G02は通信がないとGPSを全然掴めずたぶん運用無理
・mont-bell U.L. コンフォートシステム エアパッドはなかなかいいよ(相棒には合わない模様)